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電子音楽 in the (Lost) world

519xa88em3l_ss500_ 2ヶ月ほど前に出版された田山某氏監修の『YMO GLOBAL』。
この本は、YMOから始まる、「影響を受けた」、「与えた」、「同時代に活躍していた」、など、内外を問わないたくさんのアーティストの作品群を俯瞰した本なのだが、何ともいい難い違和感を感じる。教授的に言うと、『電子音楽~』を換骨奪胎して、劣化させたものだからだ。それ以上でも、それ以下でもない。

新たにYMOを知ってのめりこみ、その音楽的な広がりの中に飛び込んでいる最中のリアルタイム世代では無い人にとってはこんな本も、一つのガイド本として十分役に立つのでしょうが、リアルタイムで接してきた、アナログ時代からずっとYMOと付き合ってきた人たちにとっては、既に周知の紹介されている作品の薄さ、「これがあるのに、アレが無い」的なモノ、更には一般的史観に基づいてコメントされるべき紹介文に独断と偏見に満ちた理解しがたい言葉の羅列、「~的」、「~といわれるが…」、といった不確定なものの言いよう、どれをとっても新たな知識の蓄積になりえない紹介文を挟むように、FOEの野中氏や、アートディレクションだった奥村氏、YMOプロデュースでアルバムを出した近田氏などのインタビューでとりあえずの体裁を整えてる感じ。こんな事なら、田山某氏の前作、『Nice Age』の様に関係者のインタビューだけで本を出した方が意味があると思った。
教授のシングル、「War Head」に付いたコメント、

『実にかっこいい曲だ』www 

こんなコメントを見たときには、自分が思っていた”ガイド本”というモノに対する違和感はハッキリと「これは違うだろ?」という認識に変わった。

この本から、そんな”違和感”を私が感じたのは、これから紹介する田中雄二氏の「電子音楽 in the (Lost) world」の存在を知っていたからに他ならない。以前、『電子音楽インジャパン』をこのブログで取りあげた時にも述べたが、電子音楽の発祥から、ポピュラー音楽に電子楽器、機器が取り入れられ、YMOを経過して現在に至る電子音楽の歴史を彩ったあまたある作品を余すところなく紹介したのがこの本。この本を読み進めるにつれ、”YMOの時代”は確かに大きな、一番影響を与えた時代ではあったが、一つのカテゴリの中としてみればほんの小さなあまたある流れの中の一つに過ぎず、今まで、YMOの影響によって広がっていった自分の中の蓄積された音楽観というモノが、YMOも知らず、それほど音楽に詳しくない人に対しての、上目線の独りよがりな不完全なものだという事をイヤというほど思い知らされる。

音楽というモノは、人それぞれに思い入れやその作品に伴った思い出などが付随して、どんなものにもそれぞれ語られるべきモノが必ずある。せっかくYMOという音楽に対して常に真摯で、新しい事を始めて来た3人のファンであるのに、”YMO”の世界から抜け出さず狭量な考えを押し付けるのはもったいないと思う。
今年、HUMAN AUDIO SPONGEとして3人がリユニオンするまで、自分自身もそういった考えの中から抜け出せないでいたが、3人の再集合とこの本によって、自分もそういった世界から半分ぐらいは抜け出し始めているかな?と、思っている今日この頃…。

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電子音楽インジャパン

という1998年に初版が発行され、687ページにものぼる聖書のような分厚い本をご存知でしょうか?4757208715_2
この本は、電子音楽の誕生から、様々なデバイスの登場を経て、MIDI規格が発足してヤマハからDX-7が発売されるまでのアナログシンセの時代を纏めたもので、著者は田中雄二。
「TECHII」や「宝島」の編集を経てテレックスというベルギーのテクノグループのプロデュースまで手掛ける、YMO周辺の物書きとしては今までにいないちょっと異質なタイプで、音楽的に裏付けされた的確な評論で、YMOのメンバーにも絶大な信頼を置かれてる人です。
それまでの”YMO評論家”という輩は、正にYMOヲタというような連中で、やたらと中期のBGM、テクノデリック時代ばかりに焦点を当てて、「伝説の~」とか「逆説的サーヴィス云々」とか「流石はアノ3人」みたいな抽象的な表現ばかりが目立ち、海外発売されたレアなシングルとか未発表であった音源を知っているのを自慢げに論評してみたり、どっちかというとミーハーなアティチュードを用いていた印象が強かった。
この本は、特にYMO結成前夜のいかにして細野がアルファレコードに移籍してYMOを作り上げていったのかというあたりの章は一見する価値があります。

既に書店では、絶版になっており見つけることも簡単ではないでしょうが、神保町や、オークションなどで見つけることが出来ればぜひとも購入することをお勧めします。

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